2011年8月16日火曜日

どうしても 許せないこと

 江戸時代、木綿が多用されるようになるとワタの栽培が盛んになる。
 また、都市生活で灯火が多く使われるようになり、灯油として菜種油の需要が増える。 ワタもナタネもその栽培には多量の肥料が必要で、魚粕が高値で取引された。
 有力な魚粕の産地は、北海道であった。
 北海道の沿岸各地に産卵のためにニシンが群来していたので、本州からの渡来者たちは競ってニシンを獲った。その場で煮て油を絞り、絞りかすを干して魚粕にした。
 魚油は貧困層の灯油として使われた。

 アイヌ民族に過酷な労働をさせたり、不当な取引を行って巨利を得る者が多くいたという。ニシンを煮るためには、大量の薪を必要とし、広範な森林伐採も行われた。


 明治以後、政府に不満を持つ旧武士階級を屯田兵として北海道に入植させた。大森林に覆われていた人間の大地(アイヌモシリ)は、無残にもズタズタに切り裂かれ、オオカミは絶滅させられた。
 大規模な石炭が眠っていることがわかると石狩や空知では炭鉱の開発が進み、戦争遂行のために多量の石炭が本州に送られた。

 戦後もエネルギーが石油に取って代わられるまで、石炭の生産は続けられた。洗炭によって川は真っ黒にされ、奇怪なボタ山が並び立つ光景が北海道中央部に現出した。


 そして今。
 内地は北海道に対して、さらにエネルギーを差し出せと言う。
いつ大地震を起こすかわからない活断層の上に建つ原子炉を稼働させ、どんどんエネルギーを作れと言う。
 風の強い場所があるのだから巨大な風車を建てて、風力発電をしろという。

 エネルギーの有限性を洞察し貴重なものを大切に使うという精神を失い、無神経に浪費する生活を「スマートで快適な都市生活だ」と盲信する者たちは、際限なく北海道にエネルギー生産を要求している。

 地震が起きた時、ヒューマンエラーがあった時、原子炉が事故を起こして、いま住んでいるたくさんの人々やこれから生まれてくるたくさんの人々を傷つけくるしめるであろう原子力発電を続けろという。
 公式に確認されているだけで16羽におよぶオジロワシやオオワシをバッサリと切り裂いた巨大風車をもっと建てろという。

 そして、それらの要求に、阿るように応える知事や北海道庁。
 いったいどちらの立場に立っているのだ?

 さらに、そんな議員や知事を選挙で選んだ北海道民。
 恥ずかしくないのか?

 内地の植民地であることを今一度自覚せよ。

 北電の泊原子力発電所三号機の営業運転を、本州から連れてこられた北海道知事は、いま、認めようとしている。  


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