2011年10月20日木曜日

山々に

 今日は、山が美しい日だった。
 「生態系学習Ⅲ」ということで高校生たちと知床峠を越え、斜里町側の岩尾別台地までの区間を往復した。
 羅臼岳・三峰・サシルイ・オッカバケ・知円別岳、そして硫黄山までの「知床中央高地」の山々が青空を背景にクッキリとそそり立っていた。
 午後に訪れたわれわれには、西日を受けてそれが一層きわだって見えた。

 ただひたすらありがたく、心の中で手を合わせた。

 岩尾別台地は、昭和30年代まで農地開拓が行われていた場所で、過酷な自然環境の中であっても人々の温もりのある暮らしが営まれていた。
 この土地で生きた人々が仰ぎ見た時と変わらぬ姿で、この山々は座り続けてきたのだろう。
 落ち着きなく変わっていくのは人間の生活の方で、舗装道路が延び、今やアミューズメントパークとも言える「神秘の湖」知床五湖へレンタカーがかっ飛ばして走り、救急車が急いで駆けつけ、パトカーが焦って追いかける、大都会と変わらぬような場所になり果ててしまった。

 物言わぬ山々は、そんな風景をどんな思いで見下ろしているのだろう。

 生徒に説明している事を忘れ、思わず、ボーゼンとして立ちすくんでしまった。

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