2012年3月29日木曜日

文部科学大臣の定めた「放射性同位体」が泳ぎ回る国

今日、昭和32年に制定された「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和三十二年六月十日法律第百六十七号)」というのを読んでみた。その第二条に放射性同位元素の定義を政令で定める、としてある。
 そこでその政令を探すと、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令(昭和三十五年九月三十日政令第二百五十九号)」というの見つかった。

 その施行令の第一条に
 「放射線を放出する同位元素の数量及び濃度がその種類ごとに文部科学大臣が定める数 量(以下「下限数量」という。)及び濃度を超えるものとする。」という規定がありそこで決められている量(下限数量)を超えると法律上放射性同位元素として扱われ、「使用の許可及び届出、販売及び賃貸の業の届出並びに廃棄の業」に許可が必要になる。
ただし、「原子力基本法 (昭和三十年法律第百八十六号)第三条第二号 に規定する核燃料物質及び同条第三号 に規定する核原料物質」という例外規定があって、核燃料物質と核原料物質には適用されないらしい。

 それでも、原発事故で拡散した放射性同位体(放射性物質)、たとえば、セシウム137が一定以上の濃度で含まれている物は、この法律の適用を受けることになる。

 さて、その濃度だが、「その種類ごとに文部科学大臣が定める」とある。
それは、「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成17年 6月 1日 文部科学省告示第74号)」に同位元素ごとの別表として掲載されている。
 そこには、考えられる限りの放射性同位元素とその下限量が載っている。
 セシウム137の場合、その下限濃度は10000Bq/kgだ。これを超える濃度のセシウム137を含む物は、法律上「放射性同位元素」となり、使用(誰も使用しないと思うが)、運搬、廃棄に厳しい制限が加えられる。

 今朝の毎日新聞記事で、
 「福島県は28日、飯舘村の新田川(にいだがわ)で捕れたヤマメから国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を大きく超える1万8700ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。」
 という記事があった。
 先にクドクドと書いた法律によって、この濃度の魚は、完全に「放射性同位体」として扱われる。移動には公安委員会の許可などが必要になる。
 しかし、魚は川を無許可で自由に移動しているわけで、いったいどうなるんだろう?などと暢気にふざけている場合ではないが、こんな滑稽で怖ろしいことが、これからどんどん起こってくるのだろう。
 放射性物質を含んだ瓦礫を全国にばらまいたら、日本中でこんなことが起きるかも知れない。

おことわり:
 僕には、法律のことは難しすぎてよくわかりません。
 ひょっとしたら何か勘違いがあり、誤ったことを書いたかも知れません。
 小文の中にそのようなものがあったら、ご指摘下さい。
 また、引用して下さるのは構いませんが、(そんな人はいないとは思いますが)上記の内容は私的な解釈の粋を出ておりませんので、その点にご留意下さい。

0 件のコメント:

コメントを投稿