2012年3月27日火曜日

ヒトラーの亡霊をよみがえらせてはならない

今日、まったく取り上げられなかったか非常に小さくしか扱われなかったが、このようなニュースがある。

 「大阪市交通局の非常勤嘱託職員が、昨秋の市長選に関して組合が作成したと見せかけるリストを捏造(ねつぞう)した問題で、この職員と、リストを大阪維新の会市議に告発した職員が同一人物であることが分かった。職員の氏名が一致しており、告発を受けたとした維新の杉村幸太郎市議(33)も、同一人物だと認めた。維新市議団はリストを基に組合問題を追及してきたが、告発者の「自作自演」を見抜けなかった・・・」
                      (毎日新聞の記事の冒頭部分だけ引用)

 これを読んで最初に思い出したのはナチスの国会議事堂放火事件だ。

 1933年1月30日、ヒトラー内閣が成立した。アドルフ・ヒトラーは政権基盤を固めるために議会を解散。3月5日に総選挙を行うことを決めた。

 2月27日の夜、ドイツの国会議事堂が火事になった。火の出る直前に議事堂のそばをとおりがかった学生がガラスの割れる音を聞き、彼は火のついたものを持った人影を見て、警官に知らせた。
 火事知らせを聞いたヒトラーは「コミュニスト(共産主義者)の仕業だ!」と叫んで現場に急行した。

 現場を捜索したところ、焼け残った建物の陰でちぢこまっていた半裸の人物マリヌス・ファン・デア・ルッベが発見された。ルッベはオランダ人でオランダ共産党員であった。ルッベは放火の動機は「資本主義に対する抗議」と主張しており、プロイセン内務省のディールス政治警察部長も「一人の狂人の単独犯行」と推定した。

 ディールスは国会議長公邸で開かれた閣僚、警視総監、ベルリン市長、イギリス大使、元皇太子ヴィルヘルム・アウグストなどが参加する対策会議で犯人逮捕を報告した。しかし、ヒトラーは「共産主義者による反乱計画の一端」と見なし、「コミュニストの幹部は一人残らず銃殺だ。共産党議員は全員今夜中に吊し首にしてやる。コミュニストの仲間は一人残らず牢にぶち込め。社会民主党員も同じだ!」と叫び、単独犯行であるとするディールスの意見を一蹴した。

その後、証拠のねつ造や捜査資料の改ざんによって、単独犯行を組織的犯行に仕立て上げていく。
 日を置かずに警察は共産党議員や公務員の逮捕命令を出し、共産党系の新聞はすべて発行禁止となる。その後、共産党議員団長であるエルンスト・トルクラー(de)や後にコミンテルン書記長を務めるゲオルギ・ディミトロフら4名が共犯として逮捕された。ドイツ共産党は壊滅的な打撃をうけたことになる。 (ここまでウィキペディアを参照)

 事件の真犯人とその背後関係を巡って、諸説あるが、ヒトラーがこの事件を政治的に利用し、法制度をも変えて、国民の自由や公正な裁判を受ける権利を次々に奪っていったことは動かしがたい事実だと思う。

 大阪市交通局のこの事件を知って、真っ先に思い出したことだ。しかも、今のところ維新の会は交通局の労働組合に対して、謝罪するどころか、盗人猛々しい居直りを見せ、

「問題の指摘をするのが議員の仕事。市の職員が捏造したことは間違いないわけなので、議会の追及としては当然だ」(橋下徹市長、27日、記者団への言葉)と発言している。

 こういう人々の属する集団には、決して権力を与えてはならないと思った。

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