2011年11月13日日曜日

サヨナラ東京


 昼過ぎに羽田空港を飛び立った。
 いつになくホッとした感覚を覚えた。
 東京の方々には申し訳無いが、やはり放射線の影響から少しでも遠い地へ帰ることのできる安心感を感じる。
 そして、出来るなら、自分の身内中でも年若い身内は、なるべくこの地に来させたくないという思いを強くした。

 座席は左舷の窓側だった。
 ふと外を見ると富士山が雲の上に堂々と頭を出している。コニーデの美しい斜線が目を捉えて離さない。まだ、東京湾の真上にいる。東京から富士はこれほど近くにあるのだとあらためて感じた。

 そして、ふと考えた。
 こんな美しい山。美しいということは、この山が若い活火山であることの何よりの証拠だ。日本という国は、列島全体が火山で出来ていると言っても過言ではない。
 これだけ火山があること。富士のような若い火山があるということは、地質的にもきわめて不安定であるということだ。

 そんな不安定な土地に原子力発電所を建てまくるなんて!
 どう考えても暴挙だ。狂気の沙汰である。

 原子力発電の技術は、アメリカやヨーロッパなど地震も少なく安定した地盤を持っている国で開発された。それをそのまま日本に導入するとは。
 明治維新以来、日本は欧米の技術を導入し、改良して今日の「繁栄」を築き、「技術大国」を標榜してきた。
 たしかにそれはそれで素晴らしいことだと思う。

 だが、欧米に追いついて、まだたかだか百年ほどなのだ。少し、急ぎすぎていないだろうか。
 科学技術ばかりでなく、欧米の植民地主義も真似た。そして手痛い失敗をしたのではなかったか?

 あまり知られていないようだが、風力発電用の大規模風車も同じような失敗例だと聞いたことがある。デンマークで生まれ、風量や風向が安定しているヨーロッパの風に合わせて設計された風車は、平野が少なく山が海に迫っている地形の日本のような不安定な風で回されると軸の部分がいつも大きな力を受けて、故障しやすいのだそうだ。

 日本人は「猿まねが上手い」と揶揄される。
 「真似」がすべて悪いとは思わないが、設計思想や歴史的な背景まで視野に入れた真似ではなく、上辺だけを模倣したのでは、手痛い失敗を繰り返し、世界の笑い者になってしまうのではないだろうか。

 そういう愚行に気づく人が、もっと増えて欲しいと願う。

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