2011年5月4日水曜日
旅の終わりに気づいた 錯覚の国
今日は旅の最終日。ひたすら帰路を進む予定だ。
昨夜は上富良野町の深山峠パーキングで停泊した。
駐車場の後ろ側に「トリックアート美術館」という施設がある。高さ数メートルの建物で、どう見ても一階しかないと思われるのだが、外壁に三階建てに見えるよう窓が立体的に描いてある。今まで、前を通り過ぎるばかりだった。
午前9時開場ということだっし、以前から気になっていたので、出発前に中を見学することにした。
中には、大小50点あまりの作品が展示されていた。ほとんどすべて錯覚によって立体的に感じるように描かれたものだった。
平面に描かれているのに見る角度をが変わると手足のプロポーションが違って見える人物画、床に描かれているネコが立体的に見える絵などがあり、十分に楽しむことができた。
その中の一枚に興味を感じた。
円の中で二人の子どもが互いに反対向きで向かい合っている絵だ。これは、中国で子孫繁栄を象徴するおめでたい図柄だという説明が付いていた。
この絵で、子どもは二人しか描かれていないのだが、垂直方向に(つまり左右に)向き合っているようにも、水平方向に(つまり上下に)向き合っているようにも見える。つまり4人見えるのだという。
不思議な絵だ。
人の脳は精巧に作られているがゆえに、錯覚を起こすものだ。
この美術館の絵画は、すべて錯覚を利用したものだ。
今まで自民党政府によって進められた原子力政策は、お金と人材をつぎ込んで、力尽くで国民に原発を押しつけてきた。
その過程で、地元住民や自治体へは、多額の補助金を支払うことで反対意見を封じ、それ以外の国民へは、「電気が足りなければ日本はダメになる」とか「原子力発電は安全で、もっともコストがかからない」などとあの手この手で言いくるめてきた。
要する国民全部に錯覚を起こさせてきたわけだ。
その効果は絶大で、今でも
「原子力発電はもっと進めるべき」と考えている世論調査結果もあるという。
(その精度と真偽は定かではないが)
多くの国民がいまだに錯覚だと気づいていないのも事実だ。
笑って済ますことのできない錯覚からは、少しでも早く覚めなければならない。
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