2011年5月28日土曜日

サクラから






 南から暖かな強い風が吹いて気温は上昇。
 一気に春の気配が濃くなった。

 草地のサクラは今が盛り。
 花が散ると、長い長い月日を光合成によってひたすら養分を蓄えることに費やす。秋が過ぎ、冬を耐えると、また、花の時期が巡り来るのを待つのだ。

 この一瞬のために生命を燃やしているようだと言われるが、本当にそう思えて来る。

 樹の周りの地面を見て、驚いた。
 昨年、樹の周りに散らばった実が芽を出している。よく見ると樹の周りに無数に実生がある。

 古木が次の世代の子孫を準備しているのだ。
 それは、やがて来る死に黙って備える生命の厳粛な意志だ。

 地球上の生命の多くは、みな例外なくこのような営みを繰り返してきた。

 それを断ち切るのが放射線であり、濃厚な放射線源を作り出してばらまいたのがニンゲンである。

 みな、声を出さず黙って見守っている。黙って次代の子孫の用意をととのえている姿は、生命と生命同士の営みを無視し続けるニンゲンへの無言の抗議に感じられる。

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