2011年5月24日火曜日
本の紹介
伯母の葬儀ででかけた札幌では、例によって数冊の本を仕入れてきた。
その中に「地球クライシス」という本があった。
書名:地球クライシス・・・自然の猛威と人災の狭間で
著者:石弘之
洋泉社 新書 760円+税
石さんは、1940年東京生まれ。
東京大学卒業。環境学専攻。
世界の約130カ国を現地調査する行動的研究者である。
朝日新聞編集委員、国連環境計画上級顧問、東京大学大学院教授、ザンビア全権大使、北海道大学大学院教授などを歴任。
主な著書に「地球環境報告Ⅰ・Ⅱ」「キリマンジャロの雪が消えていく」(いずれも岩波新書)「子どもたちのアフリカ」「名作の中の地球環境史」(いずれも岩波書店)、「地球環境『危機』報告」(有斐閣)、「火山噴火・動物虐殺・人口爆発-20万年の地球環境史」(洋泉社歴史新書)、「環境と文明の世界史」(共著・洋泉社新書)などがある。
今年1月に斜里町で講演会を開いたが300人くらいの人が集まった。
この本は、石先生の最新の著書で、5月21日に出版されたばかりである。
以下が目次である。
第一章 原発エネルギーの危機
原発事故を巡る国内・国外の大きな温度差/スリーマイル島・チェルブイリ原発事故から見えてくること/天災と人災は同時にやってくる・・・日本の未来を揺るがす東日本大震災
第二章 食料・海洋資源の危機
飢饉の足音が聞こえてくる・・・高騰する食料/世界の淡水魚の三分の一が絶滅の危機/口蹄疫の流行はワラ文化崩壊のツケか/乱獲漁業から覇権の先兵まで・・・驚異となった中国漁船
第三章 動植物の危機
ライオンが地球上から消える日/世界中で野鳥の大量死・・・鳥インフルエンザが原因か/世界の森林の「明」と「暗」
第四章 海洋・湖沼の危機
ついに消滅する巨大湖・アラル海/地球に穴が開いた・・・メキシコ湾の石油流出事故/世界の海を侵略する日本産ワカメ
第五章 人類存亡の危機
マリファナの解禁と環境を巡る熱い戦い/誘拐大国になった中国・・・一人っ子政策の悲惨な余波/崩壊する米国のインフラ・・・後を追う日本/アラブ民主化の原動力になったユースバルジ
石先生はジャ-ナリスと出身だからだろう、詳細なデータを使って読みやすい文章でわかりやすく書いてある。
どちらかと言えば景気の良い話ではないが、現代の環境問題を考える上で、もっともわかりやすい手がかりになる本だと思う。
実は、彼の「火山噴火・動物虐殺・人口爆発」を「環境保護」の教材として活用しいる。
今回の震災とそれに続く原子力発電所事故の問題を環境史の流れの中で捉えるなら、この本は最適ではないだろうか。
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