2011年6月1日水曜日
峠を越える
斜里で会議があったので知床峠を越えた。
去る28日(土)に続いて今季二回目だ。二回とも好天に恵まれた。
まだ雪が多く残っている。
風景は2000メートル級の高山そのものだが、標高は最高点でも800メートル程度だ。気温の垂直分布が、知床では、他の地域より下がっていることが実感できる。
頂上はまさに早春。ハイマツの緑と残雪の白とのコントラストが美しい。根室海峡の霞む青や国後島の影、網走側の鮮やかな広がりをみせる海の青、どちらも印象的だ。
そして、そのハイマツ原の向こうにどっしりと座った羅臼岳が神々しい。
例年なら高揚しつつ敬虔な気持ちで通り過ぎる知床峠だが、今年はこの高さの気流は、原子力発電所事故の放射能を運んで来てはいないかなどと気にかかる。
素直に美しさを味わえない。
会議でも、原子力発電所の話題が出た。
今回の事故で本当に怖いのは、原子力発電推進派の人々は、あれだけの事故を目の当たりにしながら、まだ今後の原発推進を諦めていないことだと、ある大学教授が話してくれた。それは、侵略戦争を起こし、それに敗れても、まだ負けを認めずに戦争を続けようとした人々がいたが、その時と同じ構図なのだそうだ。
このままでは、ダメになる、という言葉が重かった。
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