2011年6月16日木曜日
羅臼町のクマ学習
今年度初めての「クマ学習」が行われた。
羅臼町の正式の「クマ学習」としては今年で五年目になる。それ以前から散発的に関心のある教師によって自主的なクマ学習は行われていた。
羅臼町ほどヒトの生活圏とヒグマの生息域が重複している自治体はない。住民による目撃回数も最も多い町だろう。それも当然で知床半島は世界でも有数のヒグマ高密度生息域であり、羅臼町は知床半島の東半分を占めている町なのだから。
五年前から、公益法人知床財団の全面的な協力で町内の全ての中学校と高校の授業時間に「クマ学習」が行われるようになった。
火災や地震への備えと同様に、日本でもっとも大型の野生動物と安全に共生するための生活の智恵を伝え、不意の遭遇時への対処法を知らせておくことは有意義なことだ。
クマ学習のプログラムはⅠ、Ⅱ、Ⅲの三段階からなり、中学1年と3年、高校2年と中高6年間で3回の学習を実施する。一回の学習は学校の時間で2コマ、110分からなっている。
5年目を迎える今年度は、初めてⅠ~Ⅲまでが完全に揃うことになり、「Ⅲ」の内容について最終的な検討を行っている。
今日は中学校3年生を対象にした「クマ学習Ⅱ」を実施した。昨年まで「Ⅲ」の内容と明確に区別することなく実施してきたが、完成年度の今年から純粋の第二段階のカリキュラムとして内容を精選・洗練した。
講師となった知床財団のS氏は、一人でクマと対峙しても動じない胆力の持ち主だが、中学生の前で話すのことにはかなり緊張した様子で、途中で何度も水を飲みながら話を続けていた。
だが、生徒たちはそういう彼の飾り気の無さに好感を持ったようで、良い雰囲気の授業になった。
クマを畏れ、敬いながらその大切さを理解し、危険性も正しく認識できる未来の知床の住民を育てる一助になることを願って、「クマ学習」をこれからも充実させていきたい。
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