ヌカカはハエ目、長角亜目、ヌカカ科に属する昆虫の総称である。
糠のように小さなカ(蚊)という意味から来た名前である。しかし、蚊とは関係がない。
非常に小さくて、開帳2~3mm、触角が長く、翅は透明が薄い鱗粉状の斑紋がある。
静止時は左右の翅の一部を重ねる。春から秋にかけて、多くの人畜を吸血する。
衣服の下に潜り込んで吸血することもよくあり、網戸の目を潜り抜けて、屋内に侵入する。
日本国内では、ホシヌカカ、ヌノメモグリヌカカ、ミヤマヌカカ、ナミヌカカ、ニワトリヌカカ、トクナガクロヌカカ、イソユカカなど多くの種類知られている。
僕は、昆虫が好きだ。語って良し、眺めて良し、聴いて良し、捕まえて良し、飼って良し、食べて良しだと思う。基本的に嫌いな昆虫というのはない。ゴキブリやワラジムシ(昆虫ではないが)なども可愛いと思うし、蚊やブユだって刺されるのは嫌だが、まずまず許容できる。大型のヤブ蚊などは身体のバランスが実に優雅で美しいと思う。ノミやシラミに至っては、もう今は希少種。絶滅危惧種と言えるかも知れない。
だが、なぜだかヌカカだけは許せない。
網戸を無視して入り込み、足の先とか背中とかを全く気づかぬうちに刺す。さらに、刺された痕は、他の吸血性昆虫よりも長期間かゆみが持続する。
集団で「獲物」に群がってきて、ちょっとした隙につけ込む図々しい態度、そっt近寄って気づかれぬように吸血する陰険さ、全てが憎らしい。
短い夏の夜、心地よい夜風に吹かれ、薄着でPCに向かって仕事をしたり、本の中の世界に浸っている時、突然感じるスルドイ痛がゆさは、精神に大きな波紋を生じさせる。なんだかココロの奥深い部分を蝕まれるに感じるのだ。
ヌカカは身体を刺して吸血するが、実はココロを刺しているのだ。
大きな羽音をたてて単独で吸血に来るヤブ蚊や、刺した途端に気づかれて叩き潰される不器用なメクラアブに比べて、ヌカカは実に憎むべき吸血者だ。
わが家の周りには、ヌカカが多い。この時期の大きな悩みの種だ。
知らぬ間に入り込み、気がついた時には全ての国民を脅かしている原子力発電もヌカカに似ているように思う、と言うのはこじつけが過ぎるだろうか。
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