大将が死んだ。
「大将」と名付けた野良猫である。
国道をすっ飛ばしている身勝手な自動車に轢かれた。
川を渡ってわが家に遊びに来ていた。飼われている家でも、「自分の家のネコ」という自覚はなく、外で餌を与えるのみだったらしい。
なかなかヒトに馴染もうとせず、孤高をつらぬいたネコだった。
かと言ってヒトを拒むこともせず与えられる食べものは遠慮せずに食べてくれた。
わが家でもたまに彼をもてなした。
賢く、用心深い彼が、何故国道を走る車を避けきれなかったのか、不思議だ。
かつてわが家で暮らしていた動物たちの隣に並べて大将が眠るための穴を掘った。
凍土はまだ、固く地表を覆ってい、スコップをはね返すほどに固かったけれど、ひたすら掘った。掘っているうちに涙腺に痛みを感じた。
ニンゲンは、どこまで動物に冷酷なのだろう。自分が生きるために他の命を奪う場合を除いて、他種の命をこれほど虐げた動物が地球上にいただろうか。
原子力発電はその最たるもので、これまで、現在、これから、どれほどの命を奪うことになるのか、やはり存在自体が罪悪だ。そして何も考えずにその恩恵を受けている、または今後も平気で恩恵を受けることを厭わないニンゲンたちも同罪かもしれない。
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