ヒトに寄生するシラミには、主として頭髪などに棲み着くアタマジラミと衣服の縫い目などにいて、皮膚表面に吸血しに出てくるコロモジラミとがあり、これらは同属同種であり、亜種が異なるとされている。ケジラミは属も種も別なのだそうだ。
アタマジラミがデフォルトで、コロモジラミが途中から出現したものだろうと考えられている。なぜなら、ヒトは、最初はハダカでいたわけで、衣服は着ていなかったのだから。
アタマジラミとコロモジラミのDNAを比較したらこの両者が分化したのは7万2千年くらい前のことなのだそうだ。つまり、ニンゲンはこの頃から衣服を着るようになったということらしい。
ところで、7万3千年前くらい前、スマトラ島のトバ火山の大爆発があったことが知られている。この噴火は、この10万年間のトップクラスの爆発で、火山噴出物が成層圏を取り巻き、日射量を激減させたことで、地球の平均気温が3~5℃低下したと考えられている。
この低温が原因で、かなりの数のヒトが死に絶え、1万人ぐらいしか生き残らなかったということがDNAの分析から言われている。それは、衣服を「発明」したヒトたちではないか、と考えられているのだ。
この衣服の「発明」によって人類は、シベリアを横断し、北極近くまで進出、ベーリング海峡を渡ってアメリカ大陸の南端にまで広がることができたと多くの学者は考えているようだ。
以上は、今日、「環境保護」の授業で取り上げた話題だ。
火山噴火や氷期、時には地震などの災害さえ人類の文明を進歩させる原動力になった。
原子力発電所の事故や原水爆実験による放射能は、今後の環境史にどう記録されるだろう?
よもや、放射線に対してメチャクチャ強い耐性を備えたニュータイプの人類だけが生き残るなどという悪夢のようなシナリオが展開されることはないだろうな。
今後の原子力発電の要不要の議論を読んでいると、ふと、このような幻想に怯えてしまう。 「原発容認種」は、原子力発電所を建設しまくり、放射能をまき散らし、エネルギーを浪費し、自然をニンゲンだけのために作り変えて享楽的、刹那的な文化の爛熟へと進むのだろうか。
ただ、忘れてほしくない。
地球には、火山噴火、地殻の大変動、大寒冷期の到来、隕石の衝突など人類のたかだか5~6千年の歴史では経験したことのない、大災害がまだまだあるはずだ。
自然を侮ってはならない。奢ってはならない。
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